2013年6月2日日曜日

「ちょっと立ち止まって」 桑原茂夫

騙し絵などでよく見かけるのが
「ルビンのつぼ」の絵です。


中1の国語の教科にあった内容ですが、
読み返してみると、とても良い内容だったので
少し載せてみました。


 「ちょっと立ち止まって」       _桑原茂夫_


「 自分ではAだと思っていたものが、人からBとも言えると指摘され、なるほどそうも言えると教えられた経験は多いことだろう。

 この図の場合、つぼを中心に見ているときは、見えてるはずの二人の顔が見えなくなり、二人の顔を中心に見ると、一瞬のうちに、目からつぼの絵が消え去ってしまう。

 このようなことは、日常生活の中でもよく経験する。今、公園の池に架かっている橋の辺りに目を向けているとしよう。すると、橋の向こうから一人の少女がやって来る。
目はその少女に引きつけられる。このとき、橋や池など周辺のものはすべて、単なる背景になってしまう。カメラでいえば、あっという間に、ピントが少女に合わせられてしまうのである。ところが逆に、その橋の形が珍しく、それに注目しているときは、その上を通る人などは背景になってしまう。

 見るという働きには、思いがけない一面がある。一瞬のうちに、中心に見るものを決めたり、それを変えたり、することができるのである。

 わたしたちは、ひと目見たときの印象にしばられ、一面のみをとらえて、その物のすべてを知ったように思いがちである。しかし、一つの図でも風景でも、見方によって見えてくるものが違う。そこで、物を見るときには、ちょっと立ち止まって、ほかの見方を試してみてはどうだろうか。中心に見えてるものを変えたり、見るときの距離や角度を変えたりすれば、その物の他の面に気づき、新しい発見の驚きや喜びを味わうことができるだろう。」



あらためて読むと深いですね
特に後半の内容は生きゆく上でとても重要な部分だと思います。

こういった騙し絵から学べることもたくさんありそうですね
ただ面白いと感じるだけではなく、
視野が広がっていくような思考に出会えたらいいなと思いました。

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