2013年6月28日金曜日

頭のエンジン問題

頭のエンジン始動

問1
二人のけちぼうがいる。形の違うコップが二つだけあり、その一方にジュースが注がれている。この一杯を、二人で分けて飲もうということになったが、両方から、ぜったいに文句の出ないようにジュースを分けるにはどうすればよいか。 (制限時間・20分)



まず、一人が、自分がどっちを取っても文句がないと思うまで、じっくりと酒を二つに分ける。つぎに、もう一人が、その二つのうち、自分の欲しいと思うほうを一つ選ぶ。そして残ったほうを、はじめの男が取れば、両方から文句が出るはずがない。

教訓
公平であるという事柄を、私たちは常日頃、できるだけ客観的に測ろうとしている。ところが、ここで「文句が出ない」という言葉によって表現されている一種の公平さというものは、この二人の、たいへん主観的な判断によるものである。そうなると、たんに現状を即物的に捉えるだけではすまなくなり、この場合なら、二人の内部世界、気持ちの動きを問題にしなくてはならない。そういうところに問題を設定する思考の水路が、あなたの頭の中には、あっただろうか。


問2
消しゴムとは、物を消すものである。しかし、それだけではない。左の枠内のA、B、Cの、Bを消すために、消しゴムで十秒ほどこすってみると、枠内に、いままでなかったものが現れる。何か? (制限時間2分)








消しゴムの消しカス。

教訓
消しゴムに関係して問題になるのは、ふつう、消される対象と、それが除かれたあとに現われる、その下の層である。このとき、消しゴムは、物を消すという目的行動の下に置かれるため、その目的思考にとって、派生的なもの、たとえば、この問いの答えであるゴムのカスなどは、完全に意識の外に置かれてしまう。これと似たことは、私たちの日常に、じつに頻繁に現れてくる。たとえば、お見舞いという目的をもった外出の場合、その目的行動の系列下に置かれた、見舞品を買うことなどは忘れないが、その系列外にある手紙の投函などは、すっかり忘れられてしまうことが多い。この派生的な事柄に、いかに水路をかよわせるかが、この問題をあげた意図である。

多湖輝「頭の体操」より

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